歯科医線のことを知ろう
昔と今の紫外線
年配の方が日焼け止めを使っている若い人を見て、「自分が若い頃は日焼け止めなんて使わなくても、何の問題もなかった」などと話しているのをたまに耳にします。ではいったい昔と今で紫外線の量はどう変化しているのでしょうか?
気象庁の発表によると、1990年〜2010年で8.9%増加(つくばで測定)となっています。実は日本で紫外線測定が始まったのが1990年からで、それ以前の正確な数値は分かっていませんが、オゾン量の変化から推測すると1980年〜2010年で最大18.5%増加している可能性があるとされています。残念ながら昔と今とは明らかに紫外線量に違いがあり、やるべき対策も全く異なる状況なのです。
紫外線を受けてもその直後の自覚症状は日焼けする程度で、大きな問題が起こるわけではありません。大きな問題が起こるのは20年〜30年後です。ですから、現在の紫外線量がどれだけの問題を起こすかは今の段階では分からないのです。取り返しのつかない後悔をしないように未来を見据えて紫外線対策をすることが大切なのです。
昔と今の紫外線
*UVインデックスとは紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したものです。

※UVインデックスついて、詳しくは気象庁のホームページをご覧ください。

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紫外線はなんで悪い?
紫外線が肌に与えるダメージは、大きく分ければ2つ。皮膚がんのリスクが高まるという健康上の問題と、肌の老化を進行させるという美容上の問題です。まず皮膚がんについて、幸いにも日本はこれまでの発生率は世界的にも低い水準を保っていますが、ここ30年での紫外線量の増加を考えると、このまま低い水準を保てるかは分かりません。美容上の問題について、紫外線=シミと考える方も多いかもしれませんが、シミだけではありません。たるみ、シワなど見た目の老化はほとんど紫外線によって進行するのです。例えば、お尻を見ても、その人の年齢を言い当てることは難しいですが、顔をみればおおよその年齢を言い当てることができます。これは、お尻は紫外線に当たらないため老化が進行しにくく、顔は紫外線に当たりやすいため老化しやすいということなのです。
子供に日焼け止めは必要?
紫外線の危険性を考えると、ご自身のお子さまにも紫外線防御をさせたいと思う反面、日焼け止めのようなお肌の負担になるものを、まだ未成熟な肌に塗ることに抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか?ですが、石川教授の「紫外線と上手につきあう」の中でも書かれているように、10代後半までに一生に浴びる紫外線の半分近くを浴びてしまうため、大人になってからでは遅く幼少期の紫外線対策はとても大切なことです。もちろん日焼け止めに頼ること以前に、衣服(長袖、帽子)などで防ぐことがまずは大切です。それでもやりきれない場面では、適切に日焼け止めを使うことが必要です。最近では安全性を考慮した日焼け止めも作られていて、一概に「日焼け止め=お肌の負担」ではなくなってきています。大切なことは今まで日焼け止めがお肌の負担といわれてきた理由を理解して、安全なものを選択できる目を持つことなのです。
安全な日焼け止めの選び方
紫外線吸収剤フリー
紫外線を防御する成分には、お肌の上で紫外線を吸収して熱エネルギーに変える紫外線吸収剤と、お肌の上で紫外線を反射させる紫外線散乱剤があります。その中でも、紫外線吸収剤は敏感なお肌の人やお子さまのお肌にとって刺激となってしまう場合があります。日焼け止めをつけて出かけたのに家に帰ると、なんだかお肌が赤くなってる・・・。これは日に焼けたわけではなくて紫外線吸収剤の刺激が原因の場合もあります。これらの紫外線吸収剤を使わず、紫外線を反射させる紫外線散乱剤のみで作られている日焼け止めがノンケミカルと呼ばれています。ただ、紫外線散乱剤もお肌に直接触れると負担になることもあるので、表面になんらかのコーティングを施したものがベストです。
シリコンフリー
シャンプーなどではノンシリコンが流行るなど、シリコンの問題が注目されていますが、実は日焼け止めにはシャンプー以上にたくさんのシリコンが使われたものが多くあります。シリコンが入ることによって、汗や水で流れにくくなるのですが、その反面、石けんで洗った程度では落とすことができなくなってしまい、お肌に残ってしまいます。さらに、残ったものが後々酸化してお肌に刺激を与えてしまう場合もあるのです。シリコンが入っていないものは、確かに汗や水にやや弱いのですが、ある程度の時間で塗り直すことで効果は持続させることができますし、お肌に残ることを考えればその方がお肌に負担をかけずにすむのです。
界面活性剤フリー
どんなにお肌にやさしい日焼け止めであっても、お肌から日焼け止めが体に吸収されることは決していいことではありません。そして、日焼け止めがお肌に吸収されやすくしてしまうのが界面活性剤です。界面活性剤は乳化剤と名前を変えたり、「合成界面活性剤不使用」などと書かれているものの中には、天然由来の界面活性剤が使われている場合があります。合成であっても天然であっても界面活性剤は界面活性剤。きちんと、お肌に吸収されないように作られているものを選ぶことが大切です。
オイルフリー
日焼け止めを使っていたら、ポツポツと吹き出物が・・・。ということも良くあります。これは日焼け止めにはニキビや吹き出物の原因となる油がたくさん使われているものが多いためです。さらに、油分には界面活性剤と同様に日焼け止めを吸収されやすくする特徴もあるのです。
4つのフリー
この「4つのフリー」を基準にして日焼け止めを選べば、トラブル起こすことなく安全に日焼け止めを使うことができます。
紫外線と食べ物
お肌の害になるのは、紫外線そのものというより、紫外線によってお肌の中に発生する「活性酸素」なのです。この活性酸素がお肌の細胞や組織、DNAを傷つけてしまうのです。この活性酸素は、ビタミンA(βカロテン)・ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノール類などの抗酸化成分を食べ物から摂取することで、発生を抑えることができるのです。
ビタミンA レバー、うなぎ、ぎんだら…など
紫外線の強い時期にはこのような抗酸化成分を豊富に含む食材をバランス良くとることが大切です。
美白化粧品の意外な落とし穴
紫外線の強い時期になると、ホワイトニングアイテムを取り入れて美白ケアを強化する人も多いのではないでしょうか?実はここに肌を老化させる落とし穴があります。そもそも紫外線を浴びるとお肌のなかではメラニンという黒っぽい色素を作ります。このメラニンの生成を抑制するのが美白化粧品です。メラニンはシミの原因といわれて悪者扱いされますが、実は、お肌を紫外線から守る重要な役割をします。その証拠に欧米の白人の人は、皮膚がんの発生率も高いのですし、私たち黄色人種よりも圧倒的に肌の老化が早く、20代で兆候が見えて、30代で顕著になるといわれています。これは、白人の人が生まれながらにメラニンの量がすくなく、紫外線のダメージを受けやすいことが原因なのです。つまり、美白ケアによってメラニンの生成を極端に抑制してしまうと、かえって老化しやすいお肌になってしまうのです。大事なことはメラニンの生成を抑制することではなくて、過剰なメラニンを作らせないように日焼け止めなどで紫外線対策をすることなのです。また、メラニンはターンオーバーによって垢と一緒に排出されていくので、日焼け止めなどできちんと紫外線対策をした上でできる程度のメラニンの量であれば目立ったシミになることはないのです。
紫外線イメージ
コラム 紫外線と上手につきあう
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